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気になって、ユナイテッド航空の運送約款を調べてみた

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こんにちは!DAC(id:dacs)です。

ユナイテッド航空が、乗客を暴力的に引きずり出したことがニュースになっています。

www.bbc.com

件の乗客の写真や動画は流血してボロボロにされている様子が映し出されています。また、当初オーバーブッキングのためと報道されていましたが、実際は出発直前にユナイテッド社員4人を中継地まで移動させることに決定し乗客から4人降機させることにしたという身勝手ぶりも相まって、燃え上がる燃料は十分すぎるほど提供されています。


ところでオーバーブッキングとか良くあるの?

BBC報道記事を読んでいて気になった下りが幾つかありました。

なぜこんなことに? 米ユナイテッド航空はなぜ乗客を引きずりおろした  - BBCニュースより引用:


フライトのオーバーブッキングはしょっちゅうある。航空会社にとって、空席は費用負担になるため、乗り損ねる乗客がいる可能性を見越して定員以上のチケットを売るのだ。

そこそこ航空機移動はしているのですが、幸運にもオーバーブッキング自体に遭遇したことが無いので「へーそうなんだー、取りっぱぐれのリスクを客側に転嫁するんだー。ご立派なことだよねー。すごいすごーーい(棒」と思いつつ読み進めました。

なぜこんなことに? 米ユナイテッド航空はなぜ乗客を引きずりおろした  - BBCニュースより引用:


ユナイテッド航空は規定上は、降機を拒否した男性を無理やり降ろさせる権利がある。次の対応方法は、同航空の運航指針に定められている。しかしこのようなケースはきわめて珍しい。(中略)

このような場合に誰を残すか誰を降ろすかは様々な条件で判断するが、頻繁に利用する得意客(フリークエント・フライヤー)や高額なチケットで乗っている客は優遇されると、ユナイテッド航空の広報担当は確認した。

「ええっ?そんな規定知らんかったわー。何それ?」と自分の無知を思い知らされた後、俄然「規定とはなんぞ?ユナイテッド以外の他の会社もそうなの?」というのが気になりました。

運送約款の当該規約を調べてみた

とりあえずオーバーブック規定自体はどこでもあるっぽい

運送約款 | United Airlinesより引用:

Rule 25 Denied Boarding Compensation

  1. Denied Boarding (U.S.A./Canadian Flight Origin) - When there is an Oversold UA flight that originates in the U.S.A. or Canada, the following provisions apply:

約款25:搭乗拒否時の補償
搭乗拒否とは- 北米やカナダにおいてユナイテッド航空の定員超販売が発生した場合、以下の規定が適用される

運送約款 | United Airlinesより引用:


Request for Volunteers
  1. UA will request Passengers who are willing to relinquish their confirmed reserved space in exchange for compensation in an amount determined by UA (including but not limited to check or an electronic travel certificate). The travel certificate will be valid only for travel on UA or designated Codeshare partners for one year from the date of issue and will have no refund value. If a Passenger is asked to volunteer, UA will not later deny boarding to that Passenger involuntarily unless that Passenger was informed at the time he was asked to volunteer that there was a possibility of being denied boarding involuntarily and of the amount of compensation to which he/she would have been entitled in that event. The request for volunteers and the selection of such person to be denied space will be in a manner determined solely by UA.

降機する有志者の要請として、ユナイテッド航空が定めた額(小切手または電子旅行証書を含むがこれに限定されない)補償の引き換えとして、確保している予約座席を放棄することを希望する乗客に要請するといったことを書いています。

同業他社の運送約款はどうなの?

この項目自体は別に珍しいものではなく、例えば、JAL(国内運送約款第第24条 会社の都合による取消変更2項)やANA(国内運送約款第第24条 会社の都合による取消変更2項)にもあります。

JAL国内線 - 国内旅客運送約款より引用:


会社の都合によって、予約便への搭乗手続を求める旅客(会社の指定した時刻までに、会社の飛行場事務所において、有効な座席予約がなされている認証コード又は航空券の呈示等をして搭乗手続を求めた者に限ります。)の数が、予約便の座席定数よりも多くなってしまったため、一部の旅客に対し座席の提供ができなくなる場合には、会社は、有効な座席予約を有する旅客であって、会社の協力依頼に応じて、自主的に当該予約便への搭乗をとりやめる者の募集を行います。この場合において、会社は、当該依頼に応じて搭乗をとりやめる旅客に対しては、本条第1項による取扱いに加えて、会社の定める一定額の協力金の支払等を行います。

でも、なんかユナイテッド航空のとJALやANAのとではニュアンスが違う

一応どれも自主的に当該予約便への搭乗をとりやめる者の募集という感じのことを規定しているのですけど、Denied Boarding搭乗の拒否というと航空会社がボールを持っている感じが強いです。飛行機が飛ばなければ航空会社も旅客も困るので、最終的にはどこだろうと搭乗拒否が発生してしまうのは同じですけど、歯に衣着せない感じです。

誰を残すか誰を降ろすかの優先順位規定

上記項目の後、ユナイテッド航空では「誰も有志者に手を挙げなかった場合どうするか」といった項目等様々な規定があります。

運送約款 | United Airlinesより引用:


Boarding Priorities - If a flight is Oversold, no one may be denied boarding against his/her will until UA or other carrier personnel first ask for volunteers who will give up their reservations willingly in exchange for compensation as determined by UA. If there are not enough volunteers, other Passengers may be denied boarding involuntarily in accordance with UA’s boarding priority:
  1. Passengers who are Qualified Individuals with Disabilities, unaccompanied minors under the age of 18 years, or minors between the ages of 5 to 15 years who use the unaccompanied minor service, will be the last to be involuntarily denied boarding if it is determined by UA that such denial would constitute a hardship.
  2. The priority of all other confirmed passengers may be determined based on a passenger’s fare class, itinerary, status of frequent flyer program membership, and the time in which the passenger presents him/herself for check-in without advanced seat assignment.

否応なくユナイテッド航空が決めた優先順位に従うことと規定されています。障碍者や保護者のいない18歳未満、ユナイテッドのお子様一人旅サービス(5歳から15歳)の利用者は最優先で搭乗権を有するようですが、それ以外は以下の条件から優先順位を決めると規定されています。

確かに、BBC記事でヒアリングにあった「頻繁に利用する得意客(フリークエント・フライヤー)や高額なチケットで乗っている客は優遇される」も裏付けは運送約款にありますね。

一方JALやANAは上記以降の具体的な規定が運送約款には見当たりません。(ここは流石JALだANAだと能天気に称賛するポイントではなく、不安に感じた方が良いところです。どこか他で設定しているのかもしれませんけれど…。)

こういった事態に自分がどうすれば良いか?今後のあるべき

件の降機を拒否して暴行された男性は自分は医師で翌日に変更できない予定があったとのことでした。そういう事情を聞けば聞くほど「とんでもない話だ!」と憤慨したくなります。当然ユナイテッド航空は、この問題にしっかりとした補償と今後の対策を必要とされる筈ですし、社会的な評価の低下は避けれれないでしょう。

一方で当面自分が遭遇しうる問題として「自分もどうしても遅れられない予定がある場合搭乗拒否されないようにするにはどうすれば良いか?」が凄く気になりました。

オーバーブッキング時の遭遇時対応

流石にユナイテッド航空みたいにデモ隊をパージするみたいな排除の仕方はとんでもない暴挙な訳です。

しかし、オーバーブッキングが発生した場合、どこの航空会社であろうと何もしない訳もない筈です。きっと似たような規定はどこの降雨空会社にもある筈です。いきなりあんな無茶苦茶な排除はされないとは信じたいものの、どういった条件ならどうなるかを知っておかないと事前に対処しようがありません。

航空会社には、どんなに募集があっても誰も手を挙げなかったら、どういう目にあうのかの明記はしてほしいですね。

でも、当面明記などされる訳もありません。ですので、現状としてはもし運悪く個別で声をかけられたら、勝負あったです。自分は抵抗して今回のような目にあうのは絶対嫌なので、身の安全のためにさっさと降機・退散することを選択します。怪我して結局移動できず、目的を達成しないでは、怪我するだけ大損ですから。

オーバーブッキングで排除対象にならぬための事前対応

しかし、そもそも声をかけられるような状況に陥らないためにはどうするかという観点で行くと、事後の運用のありなしではなく、事前にどう対処できるか、回避可能か(巻き込まれない)を把握することが大事です。

ユナイテッド航空は比較的細かく条件を規定していましたが、細かくどういう尺度で行うかの部分は公開されていません。これは各社ともに優先順位規定を明記公開すると同時に、誰が見ても明確な運用レベルの規定を定義して欲しいです。

例えば、旅程一つとっても「翌日の急用があっても駄目!」とされるようでは困ってしまいます。それならどんな旅程なら優先度が高くなるのでしょう?お金を払えば良いというなら、状況に応じて上のクラスを使うなりという選択もするのですが、複合要因で決定と言われると有効な対処かどうか分からず困ってしまいます。

ですので、オーバーブッキングで排除対象にならないための条件、せめて排除対象になりにくくるための条件全ての航空会社がもれなく明確化し、選択可能にしてほしいと思いました。

終わりに

恐らく世間の興味や行動はとりあえず暴力的な引きずり出し、自社都合優先でオーバーブッキング以前の無茶苦茶ぶり、被害者への同情などに集中すると思います。

それはそれで意味があることだと思うのですが、自分はとりあえず他人事より自分事を考えて調べてみた次第です。

何も基礎知識が無いところから調べたので、大きな勘違いなどあるかもしれませんが、教えて頂ければ理解できた範囲、自分の時間が許す範囲、自分の興味が尽きない限り(飽きない限りとも言う)訂正、追記をしていこうかと思います。

日本の航空会社について(追記)

良い記事が出てきましたね。

http://nlab.itmedia.co.jp/nl/amp/1704/11/news104.html

日本の大手二社にヒアリングをかけています。結論から言えば、ユナイテッドと同じことはしないし、権限的に出来ないそうです。

直接ヒアリングは素晴らしい!一方で踏み込みが浅いことも気になります。

権限的に無いので、粘り強く交渉とか仕事ってそういう感傷的で曖昧では回りません。自分が乗る立場で考えて、押し問答になるのも嫌だし、それを周りで早く終わらせろよとイライラするのも嫌です。

ここは外面を良くするのではなく、お互いのために規定を明確にすべきです。

企業としては当面イメージ対応として、うちは同じことはしないというコメントを出します。それが最も簡単でコストがかからない直近の対処だからです。

しかし、それで良しと受け取る側が安心すると、身のある改善は決してなされません。その点はマスコミは勿論、利用者が声をあげて要求しないといけない部分です。

比較的JAL窓口は素直で、個別対応なので答えられない、という言わないで良いことを口にしています。本当はそこはツッコミどころで、何故個別だと公表できないかから食い込み、判断条件について口を割らすまで行けば最高でした。

そこを突かない限りはこの件は単なる特異事項として久々の炎上案件として消化されるに留まることでしょう。

実際、CEOが謝罪して対策しますと掌返して平謝りした報道が出ましたけれど、それで俺たち大勝利!あたりで事を終わらせるというマスコミのレベルの低さは洋の東西を問いませんしね。

4/13追記

とっても良い記事が幾つか出てきましたね。
jp.techcrunch.com

日本の新聞社は被害者と加害者の観点だけに囚われて恐ろしくレベルが低いですが、俯瞰した分析してなんぼです。

4/15追記

これも非常に良い記事。ようやく運送約款という運用実態に着目した記事が出てきました。
toyokeizai.net

この記事の素晴らしいところは、そこに着目したうえで主要三社の運送約款の比較、その問題点を明確にしていることだ。当エントリで推測していた通り、海外ではオーバーブック時の補償、優先順位を明確化している一方で優先順位の詳細が公開されていない。日本航空会社においては全くそれに及ばず、曖昧に濁すのみ。

本来航空業界の利益率の低さという構造的な問題がある以上、この運用は必須と言えます。暴力的な今回の対応はそれとして追及が進む訳だけれど、本筋はそこではないでしょう。業界の健全な継続を考えていくうえでこの構造上の問題はむしろよりピックアップして追求すべきです。そのうえでどう落しどころを作るかがはっきりしない限り個別問題でまた状況が維持されてしまいます。