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ぐだぐだわーくす

意識低い系目標を掲げて達成をもくろむBLOG

結局ユナイテッド航空の反省はその体質を変えるものでは無かった

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こんにちは!DACです。

ユナイテッド航空のオーバーブッキング対応に関する炎上は記憶に新しいことと思います。

何しろ乗客が流血しながら狩られた動物か何かのように引きずり出されていく絵面は、あまりにショッキングでインパクトが大きかったです。早々に動画が出て生々しかったのも相まってほぼリアルタイムで世界中に怒りが伝播しました。

しかし、この事件あっという間に他の事件報道などに紛れて消えてしまった感があります。結局のところ、この事件どうなったのかを今更ながらレビューしてみました。

事件発生からこれまでに起きた主要な出来事

  1. 4/9ケンタッキー州ルイビル行きのユナイテッド・エクスプレス3411便で乗客強制降機事件が発生。降機の際、警備者によって暴行がなされ状況が他顧客によりスマートフォンで仔細に動画撮影され即時SNSで共有され衆目されることになった。
  2. 後報にて、単なるオーバーブッキングではなくユナイテッド航空スタッフが後付けで4名業務で搭乗することになったあおりでオーバーブッキングとなったことも判明し、更に問題視された
  3. 当初ユナイテッド航空CEOは警備及び現場スタッフの対応を賞賛、擁護していたことも判明し、燃料追加
  4. 元々北米国内線及び近隣国への接続する飛行ラインでユナイテッド航空他のサービス状況に不満や問題視が蓄積していたため、それらも併せて露見することになった
  5. 事態を重く見た米下院議院は国内航空会社経営を招集し、問題を明らかにし改善させるための会合を開いた
  6. 4/27ユナイテッド航空は、顧客サービスで10項目の改善策を発表した
  7. 同4/27被害者デビッドダオ医師とユナイテッド航空の間で示談が成立した

その他細々と指摘や問題提示はあったし今尚あるが、一旦は4/27で事態は収束した。これによって日本国内の報道は本件をほぼ扱わなくなった。北米のマスメディアはまだ一定量の報道は継続している。

小生の関連エントリ

何を以てこのような事態に陥ったのかという点が気になり、ユナイテッド航空の運送約款を調べたエントリを事件発生時に公開した。

同様の切り口での言及がこの時点ではありませんでした。しかし、公開翌日以降にハフィントンその他で日本の二大航空会社への直接ヒアリングを含めた対比記事が出て「あー、プロだしやっぱそう来るよなあ」などと感心してみていました。

ユナイテッド航空の反省は結局体質を変えるものでは無かった

一応顧客サービスの10項目の改善策が発表されました。

しかし、よくよく見ていくと、確かに改善された部分もあるのですが、本質的にあんまり変わっていないのではというのも分かってきました。以下その点について書いていきます。

ユナイテッド航空の問題意識

以下の4点を挙げていました。

  1. 安全または保安上の問題がなかったにも関わらず、業務方針を実行するために、法の執行官に出動を依頼したこと。
  2. 乗務員の出発直前のフライトの再予約
  3. より多くのお客様に自主的に座席を譲っていただくには補償が不十分で、他の交通機関や最寄空港の利用などのより多くの解決策を提供しなかったこと。
  4. 今回のような困難な状況を想定した社員教育および権限委譲の不足

第2項における乗務員の追加については報道では明確になっていなかった点も克明にレポートされています。


この頃、 便より前の便で、午後 時 分(現地時間)出発予定の、シカゴ・オヘア国際空港発ルイビル国際空港行きの便が、整備の問題で出発に遅れが生じていました。(整備の問題を解決できるどうか不明でしたが、出発が3411便の後になることは明らかでした)。この便には、月曜日の早朝にルイビル国際空港発ニューアーク国際空港行のユナイテッド・エクスプレス便を運航する乗務員 4名が予約していました。
この乗務員がルイビル国際空港に、時間通りに到着できない場合、月曜のフライトが少なくとも1便、もしくはそれ以上のフライトがキャンセルがされ、100名以上のお客様に影響を及ぼすことが想定されていました。

単に乗務員を社の都合だけで送るのではなく、その他のお客100名以上の足に悪影響を与えないことが目的であったということです。機械的に考えるなら4名3411便から降ろす代わりに100名を救う訳だからその方がより良いだろうという行動原理だったことの釈明です。まあ、それで殴られまくってあの恥辱を味合わされるのは溜まったものではないのですけれどね。

その前後の問題として、交渉に困ったスーパーバイザーがユナイテッドのゾーン・コントローラー担当者に相談した際法の執行官(警備?)を呼ぶという判断を下してしまったのが根底から間違いで、本来その手の人達を呼ぶのは安全または保安上の問題がある場合に限っていたようなのです。現場担当者がそういった状況判断を適切に出来なかったこと、また降機対象者を満足させる提案をする権限がスーパーバイザーに移譲されていなかったことを挙げています。

ユナイテッド航空の10項目の改善策

  1. 警察など法の執行官に協力を求めるのは、安全および保安上の問題が発生した場合に限定すること
  2. 安全または保安上の問題がない限り、すでに搭乗したお客様に降機を強制しないこと
  3. 自主的にお席をお譲りいただけるお客様への補償額の上限を 10,000米ドルに増額すること
  4. 「カスタマー・ソリューション・チーム」を編成し、臨機応変な解決策(ソリューション)を提供すること
    • 近隣空港への便を提案し、お客様の希望の目的地までの移動手段を提供します。
    • 乗り継ぎを予定しているお客様には、できるだけノンストップ便にて目的地まで行ける選択肢を提供します。
    • 必要に応じて、地上交通手段も提供します。
  5. 乗務員の予約は遅くとも出発の 60分前までに完了するよう徹底する
  6. 社員向けに毎年実施するトレーニングを追加する
  7. 便の変更を自主的にご承諾頂けるお客様の自動登録システムを構築する
  8. オーバーブッキング数を削減する
  9. 社員が顧客サービス上の問題を現場で即座に解決できるようにする社員向けツールと権限を強化する
  10. 紛失し、戻らなかった手荷物に関して「無条件弁償制度」を導入する

ざっと見た限りでは問題意識に挙げられた部分をカバーして余りある改善策が提示されているように見えます。

結局本質はユナイテッド航空の本質は変わらない

しかし、残念ながら実際の運用には色々と例外措置があるのです。

ユナイテッド航空の運送約款は一切変わっていない

2017年2月の改定以降運送約款は一切変わっていません。今回の改善はあくまでその上に乗っかった改善でしかありません。

例外事項

極力、搭乗拒否はしないようにオーバーブッキングしない仕組みの構築、運用を心掛けるという点は確かに改善です。

しかし、搭乗拒否をしないとは一切書いていません。というよりも稀ではあるとしながらも一定数は行うのです。

その理由は、一つには機体の積載量を超える場合です。機体の積載量はスペック上記舞っているからその中で搭乗者数も余裕を見て乗せているだろうと思う訳ですが、天候その他の運航条件によって積載量は変化するため、悪天候だと対象者がドカッと出るそうです。つまり、普段の運航ではあまり、余裕を見ないで詰め込んで効率よく運航するからその際は我慢してね…ということのようです。分かるような納得してはいけないような理由ですね。

更に問題があります。乗務員の移動です。


3411便の場合のように、フライトが満席の場合に、航空会社の規定により乗務員をそのフライトに搭乗させなくてはならないときは、お客様のご意向に反してご搭乗を拒否せざるを得ないことがあります。これは乗務員が移動先で運航する予定の便がキャンセルになるなど、さらに多くのお客様にご迷惑をおかけする運航上の混乱を最小限にとどめるために行います
確かに60分以内の後付け予約で搭乗拒否はされないもののそれ以前であれば、全く同じ理由で搭乗拒否はするのです。数の論理で押し通すのです。

なるほどそういった事情から理解ある人は最大10,000米ドルを受け取ってOKするのかもしれません。しかし、お金は要らないから運んでくれという人ばかりだとどうするのか?法の執行官を呼ばないということにしている訳ですが、交渉が長引けば運航そのものに支障が出る訳です。交渉決裂となった場合どうするのでしょうか?この件は実は日本航空会社の回答でも疑問でした。日本の航空会社もオーバーブッキング時は根気よく説得という回答をしていましたがどうにもこうにもならない場合どうするかについては回答されていませんでした。ケースとして想定していない訳は無いのですが、それは口にするのは憚られるものなのでしょうか?非常に気になります。

詳細情報

ユナイテッド航空公式のレポートで日本語に翻訳済です。今回エントリでは書いていない部分も多くあります。興味があれば是非目をお通しください。

終わりに

一応マスメディア的にも、怒り心頭だった世界中のにぎやかしの観客ももうこの件にはニュースバリューも興味も無くしてしまったのでしょう。

でも、このように問題は未だあるのです。好むと好まざると飛行機での移動が必要の場合、同様のケースに巻き込まれないとも限らず、この種の情報というのは共有して改善に導く糸口が取れたらなあと思います。