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ぐだぐだわーくす

意識低い系目標を掲げて達成をもくろむBLOG

今村復興大臣の立ち位置を無視して報道するマスコミの不可思議

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こんにちは!DAC(id:dacs)です。

今回は、4月4日にあった今村復興相の記者会見の報道関連で不思議に思ったことを書いていきます。

今村復興大臣の失言報道とは

ご存知とは思いますが、後々のため概要を書きます。


 自主避難者への住宅支援が3月末で打ち切られたことに、記者から「国が責任を取るべきでは」「帰れない人はどうするのか」と質問を受けた。今村復興相は「それは本人の責任、判断」と返答。

記者が「自己責任か」と確認すると「基本はそうだと思う」「裁判でも何でもやればいい」と答えた。さらに追及されると「二度と来ないで」と声を荒らげて退席。

その後、会見で激高したことは謝罪したが、自主避難を巡る発言は「客観的に言ったつもり」と撤回しなかった。

これは毎日新聞の記事の引用です。問題とされているところは以下の2点です。

  • 自主避難者が4月以降住宅支援が無くなって縋る物が無くなることに対し、自己責任と言う刺激的で不適切な言葉を使ったこと
  • 記者の質疑に対して感情を露にして激昂するという自らの立場、状況を省みない言動に出たこと

この失言報道を受けてマスコミ、野党、ネットでは

この失言報道を受けてマスコミ、野党、ネットでは、今村大臣の辞職要求をする動きが各所で起きています。

自分は普段Twitter上で新聞記者の方が個人としてつぶやくアカウントを楽しんでいるのですが、こちらも揃って関連の内容が大量に出ていました。

その際は自分も「また年齢と当選回数だけ重ねた勘違い政治家が、国民感情を逆なでにするようなことを放言したのか」とろくに内容も見ずに受け流していました。

気になってもう少し調べてみました

復興庁議事録を見た

4月4日の記者会見の内容は文字起こしされた議事録が復興庁のWebサイトに公開されています。

問題の部分は会見が一通り終わったあとの質疑応答にあります。とても長いですが引用します。

  • (問)それは大臣御自身が福島県の内実とか、なぜ帰れないのかという実情を、大臣自身が御存じないからじゃないでしょうか。それを人のせいにするのは、僕はそれは……。
  • (答)人のせいになんかしてないじゃないですか。誰がそんなことをしたんですか。御本人が要するにどうするんだということを言っています。
  • (問)でも、帰れないですよ、実際に。
  • (答)えっ。
  • (問)実際に帰れないから、避難生活をしているわけです。
  • (答)帰っている人もいるじゃないですか。
  • (問)帰っている人ももちろんいます。ただ、帰れない人もいらっしゃいます。
  • (答)それはね、帰っている人だっていろんな難しい問題を抱えながらも、やっぱり帰ってもらってるんですよ。
  • (問)福島県だけではありません。栃木からも群馬からも避難されています。
  • (答)だから、それ……
  • (問)千葉からも避難されています。
  • (答)いや、だから……
  • (問)それについては、どう考えていらっしゃるのか。
  • (答)それはそれぞれの人が、さっき言ったように判断でやれればいいわけであります。
  • (問)判断ができないんだから、帰れないから避難生活を続けなければいけない。それは国が責任をとるべきじゃないでしょうか。
  • (答)いや、だから、国はそういった方たちに、いろんな形で対応しているじゃないですか。現に帰っている人もいるじゃないですか、こうやっていろんな問題をね……。
  • (問)帰れない人はどうなんでしょう。
  • (答)えっ。
  • (問)帰れない人はどうするんでしょうか。
  • (答)どうするって、それは本人の責任でしょう。本人の判断でしょう
  • (問)自己責任ですか
  • (答)えっ。
  • (問)自己責任だと考え……。
  • (答)それは基本はそうだと思いますよ。
  • (問)そうですか。分かりました。国はそういう姿勢なわけですね。責任をとらないと

気になった部分を強調しました。

言い換えによって記者は誘導している

問いを行った記者の方はまず「大臣は実情が分かっていない」と仮定形式で疑念をかけています。

しかし、その直後にその仮定を前提として「人のせいにする」と繋げています。この「人のせいにする」は一つ前の大臣の発言の「これは国がどうだこうだというよりも、基本的にはやはり御本人が判断をされること」と言う部分にかかっているようです。

つまり、記者の方は「自主避難者本人が住宅の無償提供打ち切り後のことを考えて行動する」ことを「人のせいにする」と言い換えています。

それを受けて大臣は「人のせいになんかしてないじゃないですか。誰がそんなことをしたんですか。御本人が要するにどうするんだということを言っています。 」と言い換えがニュアンスを変質させていることを訂正しています。

「自己責任」は記者が持ち出した単語

「自主避難者が帰らないというのは本人の責任でしょう。本人の判断でしょう」との大臣の言葉を、「自己責任」という刺激の強い単語を持ち出して言い換えているのは記者の方です。今村大臣が口に出した訳ではありません。

ここで大臣が軽率にも「それは基本はそうだと思いますよ」と答えてしまったことによって、「自己責任」は記者の言葉ではなく大臣の言葉として固定化されます。

更に記者はダメ押しとして「国はそういう姿勢なわけですね。責任をとらないと」と無責任であるという意味合いを付け加えています。

そもそもの前提がズレているのに突っ走る記者

先の質疑の続きが以下です。

  • (答)だって、そういう一応の線引きをして、そしてこういうルールでのっとって今まで進んできたわけだから、そこの経過は分かってもらわなきゃいけない。だから、それはさっきあなたが言われたように、裁判だ何だでもそこのところはやればいいじゃない。またやったじゃないですか。それなりに国の責任もありますねといった。しかし、現実に問題としては、補償の金額だって御存じのとおりの状況でしょう。だから、そこはある程度これらの大災害が起きた後の対応として、国としてはできるだけのことはやったつもりでありますし、まだまだ足りないということがあれば、今言ったように福島県なり一番身近に寄り添う人を中心にして、そして、国が支援をするという仕組みでこれはやっていきます。
  • (問)自主避難の人にはお金は出ていません。
  • (答)ちょっと待ってください。あなたはどういう意味でこういう、こうやってやるのか知らないけど、そういうふうにここは論争の場ではありませんから、後で来てください。そんなことを言うんなら。

さて、ここでズレが明確になっています。

そもそも国が避難者として認識しているのは、強制避難区域の住民に対してだけなのでしょう。自主避難者はあくまで自主的に(言い換えれば国が対象としないのに勝手に)避難をしているという位置づけとなります。

つまり、国の認識としては自主避難者は支援する対象では無いのです。(その前提に立つと、国はがこれまで自主避難者に対して住宅支援を行ってきたこと自体矛盾している訳ですが…。)

支援する対象で無いところをこれまで予算の限られる中で一定の範囲で何とか支援してきたし、生活インフラの復旧はほぼ終了した状況にあって支援を継続する必要は無いという認識を示しています。

記者の方は、自主避難者は国に支援されるべきであり、そうしないのは国が無責任だからだという立ち位置です。帰れない状況を作ったのは国や東電だから当然でしょうということです。

並べてみれば分かるように噛み合う訳が無いのです。

自主避難の正当性を示すのに前橋地裁結果を持ち出すけれど

大臣のほうから持ち出しちゃっているのが変ですけれどね。
www.tokyo-np.co.jp


だが避難指示区域内からの避難者と比べ、賠償額で大きな開きがあった区域外からの「自主避難者」にも、原告個々の事情に応じた賠償を認めた点は評価できる。国の指針を基準にした賠償しか認めてこなかった東電の硬直的な対応への戒めといえるだろう。

この判決の中で自主避難者に対する賠償を認めたため、自主避難にも正当性があるという考えが保障されたように思われがちですが、以下の判断が地裁から出ています。
www.buzzfeed.com


相当因果関係
本件事故によって、想定される被ばく線量が相当なものへと高まったかどうかや、年齢、性別、職業、避難に至った時期及び経緯等の事情並びに接した情報のもとにおいて、生活の本拠の移転が、本件事故との関係で、法的に相当かどうかについて、「個別に検討することが適切」とした。
国の責任
国は、結果回避のための措置を講じるよう、命令する規制権限があったと認定。それを行使しなかったのは、「著しく合理性を欠き、国賠法1条1項の適用上違法」とした。

つまり、事故を起こしたことに対して事前の結果回避が出来ていなかったことの責任を国にとらせる一方で、避難するに妥当かどうかの判断はなされていないのです。従って自主避難の正当性がこの判決で示されたとするのは無理があります。

また、原告及び被告である東電、国は判決結果を不服とし上告しています。それぞれに上告する理由は異なると思います。

しかし、現時点にあっても国の立場では必要な保障を行っているし、自主避難者は積極的に保証する対象にしていないのです。

記者会見は責任を明確にする場所ではない

勿論、この記者のように自由闊達に質問するのは問題ないでしょう。

しかし、責任を明確にするのに適切な場所かと言えば、明らかに場違いです。決定事項を伝える場で、大臣が議論に乗って、国が決めた判断をその場で軽々に変えるなどあり得ません。

今村大臣は迂闊にも感情が乗ってしまい自ら言う必要も無いことを言っていますが、場所を考えれば即座に対処出来ない質問は聞き流し「ノーコメント」とするのが正しい対応でした。

実際、大臣自身も「ちょっと待ってください。あなたはどういう意味でこういう、こうやってやるのか知らないけど、そういうふうにここは論争の場ではありませんから」と言って仕切り直しを図っています(結局失敗しますが)。

記者の方がそれを分かった上で挑発しました。そして、質疑の場で自分が国に対して貼り付けたいレッテルを貼り付け、それを糊塗することに成功したのです。

今村復興大臣報道の立ち位置を無視して報道するマスコミの不可思議

その後の報道では、今村大臣や国の立ち位置は完全に無視されて報道されています。

自主避難者の現状への無理解、自己責任で切り捨てる冷血漢、大臣としての資質を疑う、辞職すべきだ…等々の発言を拾って、印象を強化し藁人形を作って叩くを地で行っています。

しかし、その前提は自主避難者は守られるべきであると言う国と相容れぬものが正義とされ、認めない国や大臣は悪であるという一方的なものであって、中立性を欠きます。

思いは理解できますし、避難者の方が大変な状況なのも分かりますが、それとこれは話が違います。

国はまずもって自主避難者の存在、継続的支援を認めていないし、そのことを記者会見などの場所で撤回することを期待する方が場を弁えない無理筋です。

国がそれを認めるのは訴訟が行われて最終的な敗訴が確定した段階、或いは世論形成によって内閣府の意思決定に支障がある状況が発生した場合です。今の段階でそれを認めるなどあり得ないのです。

自分の立ち位置

正直言って、どちらの立場にも立ちたくありません。

避難者の方が過酷な状況で理不尽と戦っていることには同情はします。

しかし、補助をするということは国の予算から行われる訳です。当然ながら予算は無尽蔵にはありません。

どれくらいの期間どれだけ誰に対して補助するか、そもそも補助するのが妥当か否かを厳正に検討判断されるべきでしょう。

国の対処が妥当かどうか、避難者の要求が妥当かどうかは自分の判断には余ります。

しかし、確定していないものを片方だけに肩入れして、確定事項のように善悪にいろわけしたような報道はおかしいと思っています。

また、記者会見のやり取りをもって件の記者を英雄のように褒め称えるのも良く目にします。話を上手く自分のしたい方向に引き付けた手腕は凄いと思うものの、これぞマスコミのあるべきみたいな評され方はなんだかなあと思ってしまいます。

問題を問題として明確にしたりするのは報道の大事な機能だけれど、こう報道したいという前提に合わせてレッテルを貼ったり、非難させるアイコンを作り上げるのがマスコミの仕事ではないでしょう。

このエントリだけを読むと自分が国寄りのガチガチの保守と勘違いされるかもしれませんが、それも決め付けです。

自分は安倍政権のここ数年の傲慢なやりたい放題の所業には心底嫌気がさしており、もっとマシな状況を望んでいます。かといって我がふりを見ずに批判だけに傾倒する情けない野党を支持している訳でもないのですが…。

いずれにせよここで疑問に思ったぬのは何故報道にここまで意思入れが入っているのかです。

国には国の立ち位置があり、その存在を認めた上で批判に転ずるのは正しいと思います。

しかし、国の立ち位置を無視して単に悪であるとするのは偏向報道そのものだと思うのです。

コメント多謝です

可能な限り反応お返ししたいと思いますが、すぐできないため、取り急ぎの点。

今村復興大臣報道の立ち位置を無視して報道するマスコミの不可思議 - ぐだぐだわーくす

今村復興大臣が東電の株主だという立ち位置を無視する報道が腰抜けって話かと。

2017/04/07 08:47

今村復興大臣が東電の株主だという立ち位置を無視する報道が腰抜けって話かと。 - murasakizaru のコメント / はてなブックマーク

そういう男気溢れる紐付けは、文春や現代、スポーツ新聞といった真偽問わず拡散する媒体の業務領域と思います。残念ながら今回のテーマの対象ではありません。

今村復興大臣報道の立ち位置を無視して報道するマスコミの不可思議 - ぐだぐだわーくす

予算が無尽蔵にないのに、無限の責任が生じる原発政策を推し進めてよしとしたのが自民党でしょう。国の現在の立ち位置は、責任はあったけどなかったことにしたい、というもの。

2017/04/07 10:11

予算が無尽蔵にないのに、無限の責任が生じる原発政策を推し進めてよしとしたのが自民党でしょう。国の現在の立ち位置は、責任はあったけどなかったことにしたい、というもの。 - hidex7777 のコメント / はてなブックマーク

総論としては同感なのですが、おっしゃる無限の責任の話に広げないでください。そこに触れると話の枠が全く違うものになります。

自分は、自主避難者に対して国が保証対象として現状認めていない立ち位置だろうと見ているだけです。

今村復興大臣報道の立ち位置を無視して報道するマスコミの不可思議 - ぐだぐだわーくす

復興大臣というポジションに立っているからこそ、仮に記者から挑発や誘導があったとしても、被災者に誤解や不安を与えるような言い方は慎まないといけないんだと思う。政治家は言葉が商売道具なのだから。

2017/04/07 10:35

復興大臣というポジションに立っているからこそ、仮に記者から挑発や誘導があったとしても、被災者に誤解や不安を与えるような言い方は慎まないといけないんだと思う。政治家は言葉が商売道具なのだから。 - heystarman のコメント / はてなブックマーク

おっしゃる通りです。大臣という重責を担う以上、不用意な言葉を出すべきではありません。それがいかなる状況であってもです。

その点において、今村大臣は経験や力量に疑問符がつくと個人的には思っています。

今村復興大臣報道の立ち位置を無視して報道するマスコミの不可思議 - ぐだぐだわーくす

記者に挑発されて応戦するような人は記者会見に出るべきではないし、大臣になるべきではない。紋切り型でない発言を引き出すために記者は質問するだし、そのために遠慮しないのは当然。

2017/04/07 16:57

記者に挑発されて応戦するような人は記者会見に出るべきではないし、大臣になるべきではない。紋切り型でない発言を引き出すために記者は質問するだし、そのために遠慮しないのは当然。 - coper のコメント / はてなブックマーク

手厳しいとは思いますが、前半は同意です。ただ、記者がなりふり構わず場を弁えない質問をした際、黙殺で応じるのも当然あります。何でも応える必要はありませんし、今回のようなレッテル貼りに使われるリスクを考慮するのは当然です。

追記

公式の議事録にはありませんが、最後にこう繋がっているそうです。

  • 今村「どーうぞ。そんな、人を誹謗誹謗するようなことはゆるさんよ!絶対!」
  • 西中「避難者を困らせてるのはあなたです。」
  • 今中(退出しながら)「うるさい!!」
  • 西中「路頭に迷わさないでください!」

言うに事欠いて何なんでしょうか?怒鳴られた意趣返しにしては、酷すぎるように思います。

追記(2017/4/25)

この内容に訂正する部分はありませんが、酷いオチがつきました。ガッカリ。
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